現金の相続税はいくらまで無税?注意点を専門家がわかりやすく解説

  • 現金の相続税がどこまで非課税になるのかわからない
  • 手元の預貯金をどう扱えばいいの?

こんなお悩みありませんか?

<結論>
現金の相続税には明確な基準があり、特例や控除を理解すれば不要な税負担を避けられます。

この記事では、現金の相続税が「いくらまで無税なのか」の基準や、非課税枠をどう活用すべきかを、数字を交えながら解説します。正しく理解すれば、相続後の手取り額に無駄な目減りが起きないよう先回りして対策できます。

自身のケースに当てはめながら読み進め、相続対策のヒントをつかんでください。

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井村 那奈 ファイナンシャルプランナー

1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。現在はファイナンシャルプランナーとして活動中。

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目次

現金の相続税は「基礎控除額」まで無税

原則として、現金を含むすべての遺産は基礎控除額以内であれば相続税がかかりません。ですが、はじめての相続では知らない人も少なくありません。

ここからは、具体的な計算方法や、相続人の人数によって変わる仕組みを解説します。

上記の注意点を押さえながら、自分の家庭ではどこまでが非課税ラインになるのかを把握しておきましょう。

基礎控除の計算式と考え方

基礎控除額※は、ざっくり言えば「ここまでは課税しませんよ」という相続税のスタートラインです。計算式は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で決まります。

例えば、配偶者と子ども2人なら法定相続人は3人なので、基礎控除額は 3,000万円+600万円×3=4,800万円となります。つまり、現金・不動産・保険金を合わせた遺産総額が4,800万円を下回る限り、相続税はかかりません。

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法定相続人の人数は、家族の人数をそのまま数えればよいわけではありません。たとえば「養子は何人まで基礎控除の人数に含められるのか」「相続放棄を予定している人もカウントに入るのか」など、状況によって判断が必要です。

人数を誤ると基礎控除額が変わり、想定と異なる税額になることもあります。不安がある場合は、早めに専門家へ相談し、正しい人数と税額の見通しを確認しておくことが大切です。

※参照:No.4132 相続人の範囲と法定相続分|国税庁
※参照:No.4152 相続税の計算|国税庁

法定相続人の人数別の無税ライン

基礎控除額は家族構成によって変わるため、どのくらいの遺産まで相続税がかからないかを確認するうえで、人数ごとの目安を把握しておくと役立ちます。

以下の一覧は、法定相続人の人数ごとの基礎控除額をまとめたものです。現金の保有額だけでなく、不動産・生命保険金(みなし相続財産)・有価証券なども合計して判定するため、現金だけでこのラインに近づくと相続税が発生しやすくなります。

基礎控除額1人2人3人4人
金額3,600万円4,200万円4,800万円5,400万円

人数による違いを把握しておくことで、相続税の見通しを考える際に、家庭の資産総額がどの位置にあるのかを簡単に確認できます。

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この表と自身の「ざっくりとした総資産額」を照らすだけでも、相談が必要かどうかの判断がしやすくなります。ただし、現金だけを基準に考えると税額を見誤るケースがあるので注意しましょう。

基礎控除額に近いと感じた段階で、早めに専門家へ相談すると、相続対策の選択肢が広がります。

>>資産総額の相談はFPがおすすめ!

「現金だから無税」になることはない

相続では「現金は扱いやすいから有利」と思われがちですが、税制上の評価は別です。現金は特別な非課税枠がなく、額面どおり100%で計算されるため、結果的に相続税が重くなる場合があります。

一方、不動産は評価方法により実勢価格より低く算定されることもあり、同じ金額でも課税対象となる評価額が変わります。

▼不動産との比較

実勢価格1億円が評価額7,000万円になるケースがあるのに対し、現金1億円はそのまま1億円で課税される。
このように、資産の持ち方によって相続税の負担が大きく変わる点を理解しておくことが大切です。

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現金は価値が安定している一方、相続税では評価が下がらないため、課税面では調整しにくい資産です。そのため、現金の割合が多い家庭ほど、相続税が想定以上に増えるケースが見られます。

さらに、預金口座は名寄せで簡単に把握されるため、名義預金が発覚しやすい点にも注意が必要です。現金が多い場合は、早めに資産の分散や用途の整理を進めておくことが大切です。

現金は相続税対策にならない?いくらまで無税になるかFPに聞いてみよう

マネーキャリア

「現金なら申告しなくても気づかれないのでは」と考える方が一定数いますが、実際は逆の結果になる傾向があります。まずは相続税の仕組みを正しく理解し、自分のケースに置き換えて考えることが重要です。

しかし、こうした判断を自分だけで行うのは迷いやすいものです。そんなとき、FPに相談すると基礎控除の計算はもちろん、資産構成に応じた注意点まで総合的に整理できます。

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マネーキャリアでは、相続を専門とするFPへの相談体制が整っており、累計相談実績から得られた知見に基づいて、一人ひとりの家庭状況に沿ったアドバイスが受けられます。

また、基礎控除に応じた資産の分け方をシミュレーションしてくれるので、どの対策が自分に合うのかが一目でわかります。相談料が無料で初回から相談しやすい点も、多くの利用者に支持される理由のひとつです。

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【相続税】マネーキャリが選ばれる理由

【みんなはどうしてる?】現金での資産承継を考えている人にアンケート

現金で財産を残したい人は少なくありません。流動性が高く、家族が使いやすいという理由が多く挙げられます。しかし、実際に現金で資産承継を考えている人はどのような意識を持ち、どんな不安を抱えているのでしょうか。当編集部ではよりリアルな声を調査するため下記のアンケートを実施しました。

ここでは自身の財産を現金で承継させたいと考えている人に調査し、アンケートから見える傾向を紹介します。

※2025年11月20日~2025年11月22日時点での当編集部独自調査による
※回答内容は調査当時の個人の意見や状況に基づいています。
※相続税制度や税制は変更される可能性があり、最新の情報とは異なる場合があります。

現金での承継を考えている理由を教えてください

理由として最も多かったのは「使途が自由・柔軟に使える」と答えた方で、全体の約3割となりました。相続人が必要なタイミングで必要な費用に充てられるという使い勝手の良さが、現金を選ぶ決め手になっていることがわかります。

そのほかの回答としては「相続手続きや分配がわかりやすい」「家族間で公平に分けやすい」「不動産のような維持管理の負担がない」といった理由がほぼ横並びで続いています。

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現金なら面倒な手続きが少なく、価値も変動しないため、家族に迷惑をかけずスムーズに承継できるという安心感があることがうかがえます。

全体として、現金は「分かりやすさ」「扱いやすさ」「公平性」「安定性」といった観点で支持されている資産であることが示された結果といえます。

今後、現金以外の相続税対策を検討したいですか?

このアンケートで注目したいのは「機会があれば検討したい」が全体の63.3%と圧倒的に多い点です。自分から積極的に動くほどではないものの、対策に踏み出したいと考えている層が大半を占めています。

一方で「ぜひ検討したい」と答えた人も16.7%おり、相続税に対して問題意識を持ち、具体的な手段を知ろうとしている様子がうかがえます。これらの層は、現金だけでは相続税負担が重くなる可能性を認識し、代替策を探している段階にいると考えられます。

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「あまり検討する予定はない」と答えた人は20.0%にとどまり、多くの人は現金以外の方法に関心を持ちながらも、まだ情報不足や判断材料が揃っていない状態で立ち止まっていると考えられます。

全体として、相続税対策へのニーズは高いものの、実際に行動に移すための導線が不足していることが読み取れる結果でした。

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どのような相続税対策を取り入れたいですか?

回答で最も多かったのは 「贈与による資産移転」 でした。現金をそのまま相続するよりも、生前に少しずつ贈与しておくことで税負担を抑えられることが広く認識されていることが分かります。

次に多かったのは 「生命保険の活用」で、保険金の非課税枠や、受け取り方の仕組みが相続対策として有効である点が支持されています。

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最も割合が低かった 「金融資産の分散・運用」は、相続税対策としての効果がイメージしにくいことや、市場リスクを伴う点から、現金派の人には優先順位が低くなっていると考えられます。

全体として、手続きが比較的わかりやすく、効果も明確な「贈与」と「生命保険」が選ばれる一方、専門的な判断が必要な手法は慎重に検討する姿勢がうかがえる結果でした。

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実は無税にならない?現金の相続で注意すべきポイント

「現金なら記録が残らないから大丈夫」と考えてしまう方は少なくありません。ただ、相続の現場ではその認識が大きな誤解につながり、後々の負担が増えるケースが起きています。

ここでは、現金相続に潜む3つのリスクを整理しながら、どこに注意すべきかを解説します。

上記のポイントを家族と共有し、話し合いを進めましょう。

タンス預金は税務調査で発覚する

タンス預金は「申告しなくても気づかれない」と誤解されやすい遺産です。税務署は、相続開始前の銀行取引を確認することがあるため、記録がなくても判明するケースがあります。相続前に数百万円から数千万円の払い戻しがあった場合、その資金を何に使ったのかを丁寧に説明する必要が出てきます。

使途に合理性がなく、証拠も提示できない場合は、引き出した現金がそのまま相続財産として存在していたと判断され、申告漏れと扱われる恐れがあります。

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タンス預金を意図的に隠す行為は、税務調査で発覚すると重加算税※の対象となり、かえって負担が増えるおそれがあります。相続後には現金の動きを調べられることも多く、特に死亡前の大きな出金が見つかると、資金の使い道を証明する書類の提出を求められることもあります。

「現金なら把握されない」と考えて行動すると逆にリスクが高まるため、日頃から透明性のある管理を心がけることが重要です。

>>お金の管理はFPへの相談がおすすめ!

※参照:相続税及び贈与税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)|国税庁

流動性が高く相続トラブルになりやすい

現金は手元で簡単に扱える反面、相続が始まる前後の混乱期に使われやすく(医療費や葬儀費用など)、後から金額の整合性が取れなくなる状況が起きやすい資産です。特に複数人で管理していると「誰がどれだけ使ったのか」が曖昧になり、思わぬ対立につながります。

少なくとも入出金記録が残る預金であれば後から確認しやすく、分配時のトラブルを避けやすい傾向があります。この観点からも、現金を多く手元に置いたまま相続を迎えるのは注意が必要です。

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現金は出入りの記録が残りにくいため、相続直後の精算で混乱が生じると後から説明が難しくなるケースがあります。対して預金は相続開始と同時に凍結されるため、必要な費用をすぐに引き出せない点が課題です。

そのため、早期に受け取れる生命保険や、用途を明確に管理できる信託型の商品を併用し、必要資金を確保しながらトラブルを防ぐ仕組みを整えておきましょう。

現金のままでは相続税評価が下がらない

現金は扱いやすい資産ですが、相続税の計算になると状況が大きく変わります。

不動産:実勢価格より低く評価される
生命保険:非課税枠が用意される

上記のように、資産によっては負担が軽くなる仕組みが存在します。しかし、現金にはこうした特例が一般的にはないため、遺産総額がそのまま課税価格に直結します。「現金なら有利」という印象とは異なる点を押さえておく必要があります。

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現金は使いやすく分けやすい点がメリットですが、相続税では額面どおりに評価されるため、対策が取りにくい資産です。現金の割合が多い家庭ほど遺産総額が膨らみやすく、基礎控除を超えてしまうケースも少なくありません。

こうした特性を踏まえると、早い段階で不動産・生命保険・信託などを組み合わせ、資産構成を見直しておくと効果的です。

現金中心の人がまず検討したい3つの相続税対策

現金は流動性が高く扱いやすい一方で、相続税評価がそのまま100%で計算されるため、相続税対策としては不利な面があります。さらに「専門知識がないと難しそう」と感じ、対策を後回しにしてしまう方も多いのが実情です。

ここでは、現金比率が高い人でも取り組みやすい代表的な3つの方法を紹介します。

非課税枠を活用した生命保険の加入

生命保険には非課税枠があり、死亡保険金の一部が課税対象からはずれます※1。

▼生命保険の非課税枠

500万円×法定相続人の数
相続人が受け取る死亡保険金のうち、法定相続人1人あたり500万円までが相続税の課税対象から除外される制度です。

現金をそのまま相続する場合と異なり、一部を保険金として受け取る形に変えることで、相続時の税金を抑えやすくなる点が特徴です。

さらに、保険金は相続発生後の受け取りが比較的早く、納税資金や遺族の生活費として活用しやすいメリットがあります。そのため、現金中心の人ほど効果を感じやすいといえます。

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生命保険を相続対策として使う場合、契約者・被保険者・受取人の組み合わせによって課税される税目が変わるため※2、事前の確認が不可欠です。設定を誤ると期待していた効果が得られず、思わぬ税負担が生じることもあります。

また、保険金額や保険種類によって、相続後の資金の受け取りやすさが変わるため、家族構成や今後の支出計画に合わせて設計しておくことが重要です。

※1参照:No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金|国税庁
※2参照:保険金受取人によって異なる税金の扱い|アフラック

年間110万円以内で行う生前贈与

現金中心の家庭が始めやすい相続対策として、年間110万円以内で行う生前贈与があります※1。この範囲であれば贈与税がかからず、少額でも続けることで相続財産を着実に減らすことができます。10年間継続すれば、最大1,100万円を非課税で移転できる計算です。

<注意ポイント>
毎年同じ金額を渡し続けると、あらかじめ一定額を贈与する約束があったとみなされ、定期贈与と判断される可能性があります。

また、生前贈与加算の対象期間が3年から7年に延長されるため、相続開始前7年以内の贈与は相続財産として扱われる点にも注意が必要です※2。

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暦年課税※3を活用した生前贈与は、持ち戻し期間の延長により、これまで以上に計画性が求められるようになりました。加算対象が7年に広がったことで、早期に取り組むほど無税で移せる金額が増え、資産整理もしやすくなります。

制度の仕組みを理解したうえで進めれば、長期的な資産移転に生かしやすくなるでしょう。

>>計画的な生前贈与の相談はFPにお任せ!

※1参照:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁
※2参照:No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)|国税庁
※3参照:財産をもらったとき|国税庁

評価が下がる資産への組み換え

資産の中には、現金と違って相続税評価が下がる可能性のあるものがあります。たとえば、土地や家屋・マンションは利用状況に応じた評価方法が適用されるため※、実際の価値より低く算定されることがあります。

高リスクの投資に踏み込む必要はなく、資産の一部をこうした性質のものに組み替えるだけでも制度のメリットを活かせます。現金のみを持ち続けるより、評価の仕組みが異なる資産を適度に組み合わせることで、相続時の負担を抑えやすくなる点がポイントです。

評価が下がりやすい資産を選ぶ際は、相続税評価だけで判断せず、以下を総合的に見極めることが大切です。

  • リスク
  • 収益性
  • 維持コスト

特に不動産は固定資産税や管理費といった継続的な費用が発生するため、長期保有を前提に検討する必要があります。

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資産の種類によって相続手続きの複雑さも異なるため、家族の状況に合った無理のない組み替えが重要です。専門家に相談しながら判断することで、資産管理と相続対策の両面をバランスよく整えやすくなります。

※参照:No.4602 土地家屋の評価|国税庁

【まとめ】現金だと相続税が高くなる?マネーキャリアと対策を考えよう

マネーキャリア

現金は基礎控除以内であれば相続税はかかりません。ただし評価額が100%で算入されるため、課税されやすい点には注意が必要です。そこで重要になるのが、早い段階でプロに相談しながら対策を整理することです。

マネーキャリアなら、相続の不安を抱える方でも利用しやすい環境が整っています。自宅からオンライン相談で手軽に相談できるうえ、累計相談実績は10万件以上と数多くの方の支援を行っています。

また、何度でも相談無料なので、状況が変わるたびに気軽に相談できる点も大きなメリットです。相続は一度始まると後戻りできません。現金の扱いに迷った段階でプロに頼ることで、家族にとって希望通りの対策が見つかりやすくなります。今の疑問を放置せず、マネーキャリアで安心の準備を進めてみてください。

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