土地は生前贈与と相続どちらが得?シミュレーションで解説

  • 生前贈与と相続のどちらが自分の家庭にとって負担が少ないのか判断できない
  • 将来のトラブルを避けたいものの、どの方法が合っているのか見極めにくい

このように悩んでいませんか?

本記事では、それぞれの方法がどのような場面で得になるのかを、ポイントを整理しながら詳しく解説します。実際の家族構成や土地の評価額、今後の活用予定を考慮した判断ができるようになりますので是非参考にしてください。

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井村FP

井村 那奈 ファイナンシャルプランナー

1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。現在はファイナンシャルプランナーとして活動中。

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目次

土地の生前贈与が得になるケース

土地の生前贈与が得になるケースは、コストや特例の非適用に注意が必要ですが、実際には多く見られます。ここでは、土地の生前贈与が得になるケースを3つ紹介します。

将来土地の値上がりが予想される場合

将来土地の値上がりが予想される場合は、生前贈与のほうが得になる可能性があります。地価が上昇しやすいエリアでは早めに贈与しておくことで、相続時の評価額上昇による負担を避けられます。

たとえば、評価額3,000万円の土地が5年後に3,600万円へ上昇すると、贈与と相続では最終的な税負担に数百万円の差が生じることがあります。再開発予定地やインフラ整備が進む地域では短期間で評価額が数割上がる例もあり、タイミングによって負担は大きく変わります。

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【ワンポイントアドバイス】

生前贈与は贈与時点の評価額が課税対象※となるため、将来の税負担を抑えやすい点が特徴です。相続時精算課税制度の活用も選択肢となるため、値上がりが見込まれる土地は早めに贈与計画を検討することをおすすめします。

※参照:特定贈与財産(4)贈与財産の評価|国税庁

配偶者へ贈与する場合

配偶者へ土地を贈与する場合は「贈与税の配偶者控除(いわゆるおしどり贈与)※」を利用できる点が大きな利点です。条件を満たせば、居住用不動産またはその購入資金について2,000万円まで非課税で贈与できます。

対象は婚姻期間20年以上の夫婦であり、長く生活を共にしてきた配偶者へ安心して名義を移せる仕組みです。

この特例を使えば、将来的に相続の対象となる財産を減らしつつ、贈与時の税負担を抑えられます。配偶者の生活基盤を整えやすい点も特徴で、老後の資産整理を進めるうえでも有効です。

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【現役FPからのコメント】

配偶者控除の非課税枠を活用すれば、夫婦間の資産移転を無税で進められます。老後の備えを見据えた選択肢として早めに検討する価値があります。

※参照:No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除|国税庁

相続トラブルを回避したい場合

相続トラブルを回避したい場合は、生前に土地の持ち主を明確にしておくことが有効です。特に子どもが複数いる家庭や、自宅と事業用を兼ねる土地では「誰が継ぐのか」で揉めやすく、話し合いが長期化することもあります。

早めに贈与しておけば、遺言作成や遺産分割協議の負担を抑えられ、相続時の不安や混乱を小さくできます。

結果として金銭面だけでなく精神的負担の軽減にもつながり、生前贈与が得になる場面は少なくありません。家族間の認識をそろえやすい点も、生前贈与の大きな利点です。

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【現役FPからのコメント】

生前贈与は節税よりも「争族防止」の効果が大きいといえます。税額だけに注目せず、家族関係を優先して判断すべき場面も多くあります。

土地の相続が得になるケース

土地の相続が得になるケースは税金面で有利となる場面が多く、特に節税効果が期待できる3つのケースが挙げられます。

相続財産が基礎控除内に収まる場合

相続財産が基礎控除内に収まる場合は、相続を選ぶ方が得になることが多いです。相続税には「基礎控除※」があり、3,000万円と相続人1人あたり600万円を合計した額までは課税されません。

たとえば、相続人が2人なら控除額は3,000万円と1,200万円の合計4,200万円です。土地を含めた遺産総額がこの範囲であれば相続税は0円となり、生前贈与を選ぶと贈与税(税率10〜55%)が発生することを考えると負担が増える可能性があります。

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【ワンポイントアドバイス】

相続税が発生しない家庭では、生前贈与より相続を選ぶ場面が多くなります。申告も不要で手続きが簡単なため、まずは遺産総額が基礎控除に収まるかを確認することが重要です。

※参照:No.4152 相続税の計算|国税庁

小規模宅地の特例を利用できる場合

小規模宅地の特例※を利用できる場合は、相続を選んだ方が有利になることが多いです。相続では自宅や事業用地など、一定の要件を満たす土地の評価額を最大80%まで減額できます。

たとえば、評価額4,000万円の土地が800万円まで下がることもあり、相続税を大きく抑えられます。一方で、生前贈与ではこの特例が使えないため、同じ土地でも贈与の方が税負担が重くなりがちです。特例の対象となる土地がある家庭では、相続を前提に検討する方がよいでしょう。

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【現役FPからのコメント】

特例の有無で税負担が数百万円単位で変わるケースもあります。居住用や事業用の土地を持つ家庭は、特例を前提にした試算を行い、相続と贈与のどちらが適切か慎重に判断しましょう。

※参照:No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁

贈与によるコストが増大する場合

贈与によるコストが増大する場合は、相続を選んだ方が得になる可能性があります。生前贈与では「登録免許税(固定資産税評価額の2%)※1」と「不動産取得税(3〜4%)※2」が必要となるため、評価額が高い土地ほど負担が大きくなります。

例えば固定資産税評価額2,000万円の土地を贈与すると、登録免許税で約40万円、不動産取得税で約60万円前後がかかります。

一方で同じ土地を相続で取得した場合、登録免許税は約8万円に抑えられ、不動産取得税は非課税です。評価額が大きい土地ほど贈与コストが跳ね上がり、節税効果が相殺されることもあります。

井村FP

【ワンポイントアドバイス】

節税目的の贈与が、税負担や登記費用の増加で結果的に損となるケースもあります。数十万円から100万円単位で差が出ることもあるため、専門家に相談し、具体的なシミュレーションを踏まえて判断することが重要です。

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※参照1:No.7191 登録免許税の税額表|国税庁
※参照2:不動産取得税|東京主税局

自分の土地は生前贈与と相続どちらが得?まずはFPに相談を

マネーキャリア

自分の土地を生前贈与するか、相続で引き継ぐかは、税金だけで判断すると意外と見誤ることがあります。家族構成や今後の住まい方、登記の手間、将来の生活計画など、考えることが多く複雑だからです。まずはFPに相談して、家族や資産の状況を整理しながら、自分に合った方法を一緒に考えてみると安心です。

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マネーキャリアなら相続に詳しいFPが在籍しており、必要に応じて税理士や弁護士などの士業とも連携できるため、安心して検討を進められます。マネーキャリアは相談実績が10万件を超え、相談満足度も約98.6%と高い評価を得ています。

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マネーキャリアは、相続や生前贈与で迷ったときも状況に合わせて選択肢を示してくれるため、判断に不安を抱える人にとって頼れる存在です。

相談は何度でも無料で、オンラインにも対応しているため、忙しい人でも無理なく専門家の意見を取り入れられます。申し込みは公式サイトから簡単に行えるため、早めに相談を始めてみてください。

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【生前贈与】マネーキャリが選ばれる理由

【実際どうだった?】土地を相続した人にアンケート

土地の承継は制度や税金の知識だけでは判断しきれず、実際の経験者の声から得られる気づきも少なくありません。そこで、土地を相続または生前贈与で受け取った人を対象にアンケートを行いました。

※2025年12月01日~2025年12月03日時点での当編集部独自調査による
※回答内容は調査当時の個人の意見や状況に基づいています。
※相続税制度や税制は変更される可能性があり、最新の情報とは異なる場合があります。

土地をどのように承継しましたか?

アンケートでは、多くの人が相続によって土地を受け継いでいました。相続が選ばれやすい背景には、利用できる特例が多く、費用負担も比較的抑えられる点があります。一方で、生前贈与を選んだ人も一定数おり「名義を早めに整理したい」「将来のトラブルを避けたい」といった意図がうかがえました。

制度面の違いは重要ですが、自分の家庭の事情や今後の希望も踏まえて検討する姿勢が欠かせません。どの承継方法が自分に合うのか、早い段階で考えておくことが後悔のない判断につながります。

井村FP

【現役FPからのコメント】

承継方法を選ぶ際、税金だけで判断しがちですが、アンケート結果からは家族関係や暮らし方が選択に大きく影響していることが見えてきます。土地の承継は一度決めると方向転換が難しいため、専門家の意見も取り入れながら慎重に進めることが大切です。

税金の総額はどれくらいでしたか?

アンケートでは、多くの人が相続税を負担せずに土地を受け継いでいました。基礎控除内に収まったケースが多く、土地を含む相続財産が一定額以下であれば税金がかからないことを実感する人が多い傾向があります。一方で、一定の税負担が発生した人もおり、評価額が高い土地や特例を利用できないケースでは税額が大きくなりやすい状況も見られました。

まずは自分の家庭の財産総額や特例の適用可否を把握し、相続税がどのくらいになるのか目安を確認しておきましょう。そうして整理しておくことで、思わぬ負担を避けやすくなります。

井村FP

【現役FPからのコメント】

相続税を負担しなかった人が多いという結果に意外性を感じるかもしれませんが、実際には基礎控除が適用される家庭が大半です。ただし、土地評価が高い都市部や資産が複数ある家庭では負担が急増するケースもあります。

「なんとなく」で判断せず、使える制度や保有資産の現実的な数字を把握しておくことが後悔のない相続準備につながります。

土地を生前贈与で受け取り良かったことを教えてください

ここでは「土地を生前贈与で受け取り良かったこと」についての口コミを紹介します。

思いの詰まった土地を自分の意思で管理できた 女性(40代)

身内の思いがこもった土地を引き継いだことで、気持ちの面でも大きな節目になりました。手続きは大変でしたが、自分で活用方法を決められるようになり、管理の計画も立てやすくなりました。家族と将来について話す機会にもなり、気持ちの整理にもつながったと感じています。

親と準備を進められたことで相続時の不安が軽減 男性(50代)

生前贈与のおかげで、親と話し合いながら承継準備を進められました。相続時の手続きやトラブルを避けられた点は大きな安心材料でした。税負担も想像より少なく、早めに名義を整理したことで管理がしやすくなり、家族全員が安心できる状況になりました。

生前贈与のおかげで相続時の手続きが不要に 女性(30代)

親戚の土地と自宅の土地を交換する際、親からの贈与で名義変更を同時に行いました。結果として、後に親が亡くなったとき相続手続きが不要になり、大きな助けとなりました。事前に整理しておくことで、いざという時の負担が大きく違うと実感しました。

贈与時に税金がかからず負担を抑えられた 男性(30代)

生前贈与ということで税金を心配しましたが、非課税枠内だったため負担が発生しませんでした。相続よりもむしろ費用を抑えられ、経済的な不安が軽減されたと感じています。早い段階で家族と共有して準備したことで、安心して引き継ぐことができました。

専門家へ早めに相談しておけばもっとスムーズだった 女性(50代)

生前贈与の手続きを自分たちで進めましたが、専門家に相談しておけばよかったと後から感じています。贈与税の計算や将来の相続への影響など不明点が多く、不安も残りました。振り返ると、早い段階でFPなどに相談し全体の流れを整理してもらうことで、より安心して準備が進められたと感じています。

生前贈与で土地を受け取った人の声には「心理的な安心を得られた」「家族で話し合うきっかけになった」「将来の負担を減らせた」など、手続き以外の価値が多く見られました。

早めに名義を整理したことで相続時の混乱を防げたという意見や、非課税枠を活用して税負担を抑えられたという実体験も印象的です。一方で、専門家に相談しなかったために不安が残ったという声もあり、生前贈与には制度の理解と計画性が欠かせないことがうかがえます。

井村FP

【現役FPからのコメント】
土地の承継は家族の将来にも影響するため、迷った段階でFPなどの専門家へ相談し、進め方を整理しておくことが安心につながります。

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土地を相続で受け取り良かったことを教えてください

ここでは「土地を相続で受け取り良かったこと」についての口コミを紹介します。

住み続けられる安心感が得られた 女性(40代)

相続した土地にそのまま暮らせる点が、精神的にも大きな安心につながりました。環境が変わらず落ち着いて生活でき、生活費の見通しも立てやすくなりました。住み慣れた地域で暮らしを続けられることは、想像以上のメリットだと実感しています。

家族との関係を見つめ直す機会になった 男性(50代)

土地を相続したことで家族のつながりを意識するようになりました。現地を確認しながら今後の使い方を考え、自分で管理方針を決められた点も良かったです。家族と話す機会も増え、将来の方向性を共有しやすくなったことが大きな収穫でした。

土地の活用を考える時間が楽しみに 女性(30代)

相続に伴う費用で特別なメリットを感じたわけではありませんが、土地の活用を考える時間が前向きな気持ちにつながりました。売却や整備など選択肢が広がり、将来の可能性を想像できる点が魅力でした。

家賃負担から解放されたことが大きい 男性(30代)

賃貸から相続した住宅へ移ったことで家賃の支払いがなくなり、経済的にも精神的にも余裕が生まれました。固定費が減る安心感は想像以上に大きく、生活を見直すきっかけにもなりました。

資産構成が広がったが専門家の助言が必要だったと感じた 女性(50代)

相続によって不動産を資産として意識できるようになりましたが、管理や税金の不明点も多く、事前に専門家へ相談すべきだったと感じています。早めにFPへ相談していれば、より良い活用方法を見つけられたかもしれません。

相続で土地を受け取った方の声を見ると「住み続けられる安心感」や「家賃負担がなくなり生活に余裕が生まれた」といった、暮らしの安定に直結するメリットを実感している人が多い印象でした。

また、家族とのつながりを再確認できたという意見や、土地の活用を前向きに考えられるようになったという声もあります。さらに、相続が心理的なプラスにつながるケースも少なくありません。一方で、資産管理や税金面では「専門家に相談しておけばよかった」という後悔も見られました。

井村FP

【現役FPからのコメント】
相続は生活の安定や家族とのつながりなど心理的メリットも大きい一方で、税金や資産管理で後悔するケースもあります。後々の負担を避けるため、制度や手続きを事前にしっかり確認しておくことが大切です。

土地の生前贈与と相続どちらが得かシミュレーション

土地の承継では、税金だけでなく登記費用や取得税の負担が大きく変わるため、まずは生前贈与と相続それぞれの一般的な費用区分を整理することが重要です。

生前贈与は贈与税と登記関連の費用が重くなりやすい一方、相続は控除や特例を利用しやすく、同じ土地でも最終的な負担額に大きな差が生じることがあります。以下に両者の代表的なコストの違いをまとめました。

項目生前贈与相続
登録免許税※1固定資産税評価額の 2.0%固定資産税評価額の 0.4%
不動産取得税※2評価額の 3〜4%非課税
贈与税/相続税※3贈与額に応じて10〜55%(累進課税)課税対象額に応じて10〜55%(累進課税)
基礎控除年間110万円(暦年贈与)※43,000万円+600万円×法定相続人数※5
主な特例相続時精算課税制度・配偶者控除など小規模宅地等の特例・配偶者控除など

※参照1:No.7191 登録免許税の税額表|国税庁
※参照2:不動産取得税|東京主税局
※参照3:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁
※参照4:No.4402 贈与税がかかる場合|国税庁
※参照5:No.4152 相続税の計算|国税庁
※いずれも制度上の一般税率・控除額であり、実際の負担額は条件によって異なります。

生前贈与は「課税・登記コストともに高め」であり、相続は「控除・特例が豊富」という違いがあります。そのため、土地の評価額や家庭状況によって最終的な税負担が大きく変わります。

ここでは、土地の評価額や条件を変えた場合にどれほど差が生まれるのか、具体的な数値を用いて比較します。今回のシミュレーションは、土地の固定資産税評価額4,000万円、相続人1人、特例なしを前提に行います。

生前贈与した場合

土地を生前贈与した場合は、登記費用と贈与税が大きな負担になります。固定資産税評価額4,000万円を前提に試算すると、必要となる金額がより具体的に把握できます。主なコストは次のとおりです。

項目概算金額備考
登録免許税※1約80万円評価額 × 2.0%
不動産取得税※2約120万円評価額 × 3%
贈与税※3約310万円4,000万円 − 110万円の課税価格に対する概算(累進税率55%+控除額400万円)
合計約510万円前後

※参照1:No.7191 登録免許税の税額表|国税庁
※参照2:不動産取得税|総務省
※参照3:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁

土地が高額になるほど贈与税と登記費用は比例して増え、特に土地は評価額が大きくなりやすいため負担が重くなります。

また、相続時精算課税制度などの特例を使わない場合、贈与税は累進課税の影響で数百万円規模に膨らむこともあります。こうした点から、生前贈与は「コストが高い」と感じやすい傾向があります。

井村FP

【ワンポイントアドバイス!】

現時点の負担額だけを見ると、生前贈与は損に見えるかもしれません。しかし、将来の土地価格上昇や相続人同士の関係性、相続発生時の評価額の変化などを踏まえて判断すると、生前に贈与しておく方が結果的に得になるケースもあります。

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相続した場合

土地を相続した場合のコストは、生前贈与と比べて大幅に抑えられる傾向があります。固定資産税評価額4,000万円、相続人1人、特例なしを前提に試算すると、主な費用は次のとおりです。

費用概算金額備考
登録免許税※1約16万円評価額 × 0.4%
不動産取得税※20円非課税
相続税※3約40万円(4,000万円 − 3,600万円) × 10% 概算
合計約56万円

※参照1:No.7191 登録免許税の税額表|国税庁
※参照2:不動産取得税|総務省
※参照3:No.4155 相続税の税率|国税庁

評価額4,000万円で相続人が1人の場合、基礎控除は3,600万円となり、課税対象は400万円分にとどまります。そのため、相続税額は比較的小さく、登記費用も生前贈与の約5分の1に抑えられます。

さらに、小規模宅地等の特例を利用できれば、評価額を最大80%まで減額できるため、相続税が実質ゼロになるケースもあります。制度面では相続が有利になる場面が多い点が特徴です。

井村FP

【現役FPからのコメント】

相続の損得は土地だけでは判断できません。預貯金や有価証券など他の資産、相続人の数、特例の適用可否によって税額は大きく変わります。

自分だけで正確に計算するのは難しいため、専門家と一緒に具体的な試算を行い、自身の状況に合った判断材料を整理しておきましょう。

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土地の生前贈与か相続を選ぶ際の注意点

土地の承継方法を判断するときは、税金だけで決めるのではなく、家族関係や将来の状況まで含めた総合的な検討が欠かせません。特に押さえておきたい注意点は、次の3点です。

税負担と制度適用の差を正確に把握する

生前贈与と相続では、税率や控除、特例の適用範囲が大きく異なるため、制度上の違いを理解することが欠かせません。相続では「小規模宅地等の特例※1」を利用でき、居住用または事業用の土地であれば評価額を最大80%まで減額できます。

一方、生前贈与にはこの特例が適用されず、同じ土地でも税負担に大きな差が出やすい点が特徴です。また、登録免許税は贈与が2.0%で相続は0.4%と約5倍の差があり、不動産取得税も贈与だけが課税対象となります。

評価額5,000万円の土地で比較すると、制度の違いによって負担額は次のように大きく変わります。

税負担の比較例(評価額5,000万円)
  • 贈与:総負担 約2,540万円
    (贈与税約2,290万円+登録免許税100万円+不動産取得税150万円)※2※3※4
    暦年課税:基礎控除110万円を差し引く前提で算出
  • 相続:総負担 約160万円
    (基礎控除・小規模宅地等の特例を適用)

制度差がそのまま税額に反映されるため、数字を並べると相続の優遇度が際立ちます。

井村FP

【現役FPからのコメント】

税負担の差は実際に計算すると想像以上に大きく、制度上は相続が明確に優遇されています。生前贈与は「費用を払ってでも確実に承継したい」という目的がある場合に選択肢となるため、目的とコストの釣り合いを丁寧に検討することが重要です。

※1参照:No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁
※2参照:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁
※3参照:No.7191 登録免許税の税額表|国税庁
※4参照:不動産取得税|東京主税局

税制改正による影響を理解する

相続税や不動産に関する税制は頻繁に改正されるため、最新の仕組みを把握していないと、想定外の税負担が生じる可能性があります。特に2023年の税制改正では、生前贈与に関するルールが大きく変わりました。相続時精算課税制度には年間110万円の基礎控除が新設される一方、生前贈与の持ち戻し期間は3年から7年へ延長されています※。

この変更により、早期の暦年贈与で節税を図る従来の方法は効果が出にくくなり、見直しが必要となる家庭も増えています。制度改正は今後も続く可能性があるため、最新情報を踏まえた対策が欠かせません。

井村FP

【ワンポイントアドバイス!】

常に最新制度にキャッチアップし制度の理解を行うのは、自分一人だと大変です。そこで、専門家に最新制度を整理してもらうことで、状況に合った判断がしやすくなります。

>>相続・贈与の最新情報を専門家へ確認する

※参照:相続税及び贈与税の税制改正のあらまし|国税庁

家族の状況や将来のリスクを考慮する

土地の承継方法を決める際は、税額だけでなく家族構成や健康状態、今後の生活設計まで含めて判断することが重要です。たとえば、親が高齢で認知症リスクが高い場合、生前に贈与しておくことで、意思能力の低下による「資産が動かせなくなる」リスクを避けられます。

一方で、相続人が複数いる家庭では、生前贈与が「不公平」と受け取られ、兄弟間のトラブルに発展することもあります。また、相続を選ぶ場合でも、遺言書の作成や相続登記を早めに整えておくことで、将来のトラブルを大きく減らせます。

井村FP

【現役FPからのコメント】

節税よりも家族間の円満な承継を優先すべき場面は少なくありません。認知症や相続争いのリスクを見据え、家族のライフプランを踏まえて納得のいく準備をしておきましょう。

土地の生前贈与と相続どちらが得かマネーキャリアのFPと考えよう

マネーキャリア

土地の承継は、税制だけでなく家族関係や将来の生活設計も複雑に絡むテーマです。「贈与の方が安心」「相続の方が節税できそう」と思っても、最適な方法は家庭ごとに異なります。

判断に迷ったときは、まずFPへの相談がおすすめです。マネーキャリアの無料相談では、相続に詳しいFPがあなたの状況を丁寧に把握し、家庭ごとに合った最適な判断をサポートします。漠然とした不安や迷いも、具体的な論点に整理したうえで、必要に応じて税理士や司法書士などへの橋渡しも可能です。

井村FP

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【まとめ】土地の生前贈与と相続どちらが得か総合的に判断を

土地の生前贈与は、将来の値上がりを抑えたい場合や承継させたい事情がある家庭では有効な選択になることがあります。一方で、税金や登記費用といったコスト面では相続のほうが負担が軽くなるケースが多い点も見逃せません。

ただし、どちらが得になるかは家族構成や健康状態、適用できる特例の有無によって大きく変わります。そのため、迷った段階で専門家に相談し、自分の家庭に合った承継方法を見極めましょう。税金や制度、家族間の調和を踏まえて準備を進めれば、将来のトラブルや負担を抑えた形で土地を引き継ぐことができます。

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